石見高島の鼠害と駆除
どんな伝承か
島根県西部の海上にある石見高島の鼠の話が、本居宣長の『玉勝間』巻七に出ている。この島は鼠が多く人にまで害を及ぼし、ある年には浜田から人を遣わして駆除させたが効き目がなかったという。島は周囲五里で岸はみな断崖、浜田から五里とされるがもっと遠い。民家はもと七戸で当時は十余戸、畑はあっても米はなく牛馬もおらず、年貢は海藻だったというから、漁民の小さな村であった。柳田は、耕地はわずかで残りは地竹の茂る原野だったのではないかと推し、いまはもう無人島になっているのではないかと案じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。