新田一族の怨霊の鼠を鎮めた薬師
どんな伝承か
所沢の薬王寺の薬師は、新田義宗の守り本尊である。義宗が死んだのち、武蔵野では鼠がおびただしく増え、農家が蓄えた種や穀物を食い、畑の作物まで荒らした。人々はいつしか、これは戦死した新田家の一族郎党の怨霊の仕業だと言い合うようになった。そこで義宗の守り本尊であるこの薬師に、遠近の農民が願を掛けるようになると、不思議に鼠の害を免れることができた。以来この薬師を鼠薬師と呼び、信心すれば鼠の害を逃れられるといわれるようになったという。
原典より
そこで誰いうとなく、これは新田家の従類の戦死した人々の怨霊のしわざであるというようになった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。