伊勢踊と弘法大師の歌
どんな伝承か
祭の夜明け前、外では提灯がちらつき太鼓と下駄の音が聞こえる中、婆さんたちの歌声が下から聞こえてきた。伊勢踊というそうで、間の延びた伊呂波歌に弘法大師の事を作ったものらしく、団扇を叩きながら婆さんが二人踊っていた。それからまた大笑いして、今度は『若い後家なら』という別の歌を歌い、これは可哀想な後家を元気づけるための歌なのだと、部屋を片付けに来た未亡人が涙を拭いながら語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。