与那覇の浦島譚(南風原)
どんな伝承か
沖縄本島でも首里に近い南風原間切の与那覇に、浦島に似た話がある。ある男が浜に出て異常な髪を拾い、翌日落とし主を探して美しい女性に返したところ、これぞ我が物、汝はまことに善人だということになって、海の都に招かれた。美しい女性に誘われて龍宮に遊び、わずか三月と思って還って見ると、この世はすでに三十三代を経て、もう子孫という者も無かった。怪しんで、開くなと戒められた紙包を解くと、中には白い髪毛があるのみで、それが皆飛んでこの男の顔にくっつき、たちまち衰老となって死んだという。葬られた地は後に御嶽となり、突き立てた桑の杖が繁茂したと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。