上総のそこ一里の言い伝え
どんな伝承か
ここから何処までどのくらいあるかと里程を尋ねると、上総の人は決まって「ついそこです、一里ばかりです」と答える。そう思って歩いてみるとなかなかに遠く、一里も過ぎたと思う辺りでまた尋ねると、やはり「一里ばかりだ」という。どこまで行っても一里で目的に着かないというのは房総の吹聴であろうが、東金を中心とする地方で一里が長いのは事実らしい。「房総一覧志」にも、この辺りはすべて上総のそこ一里といって五十町にも過ぎたとある。
原典より
此處から、何處そこ迄、里程はどのくらゐありますかと尋ねると、きまつたやうに、『ついそこです、一里ばかりです。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。