行基が一日一段築いた高蔵寺の石段
どんな伝承か
君津郡鎌足村(現木更津市)矢那区にある高蔵寺の正観世音菩薩は行基の作と伝わる。堂は十一間四面、八十四段の石段があり、これは行基が一日に一段ずつ築いたという言い伝えがある。上古あさばという大樹一本で堂を建てたが、後の人がこれに倣って建てたため類例を見ない質素な造りだという。像は白鳳二年に草創され、後に藤原鎌足が出生して御堂を整えたと伝える。正観世音菩薩の霊像は鎌足将軍が龍宮から採ってきた尊像ともいわれ、庭には花蕊の内に桜の一枝をつけるという車返の桜がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。