二列に並ぶ小塚と六十六部の供養塔
どんな伝承か
榛原郡坂部村の前玉月岡原には、四間ほどの間隔をおいて小塚が三十ばかり一列に並び、七間あまりを隔ててもう一列が向かい合っている。列は二町半ほど続き、その北の端に七間四方の芝地があって、日本廻国六十六部の供養塔が立つ。旧暦七月二十六日の夜には六夜待と称し、この芝地で念仏供養を営む。昔ここに六十六部の経文を埋めたからとも、青柳に宿を借りた廻国の六部が仇に追われてこの原で討たれ、その供養に塚を築いたからともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。