阿旦の枝で足をぶらつかせる真っ赤な子
どんな伝承か
昭和五十七年当時七十七歳で那覇に住む金城秀さんのブナガヤの目撃談は、書き手が十数年前から何度も聞いてきたものである。七、八歳のころ、女友だち三人で喜如嘉のウンダ川の堰へ水浴びに行くと、堰の手前の土手に生えた阿旦の枝に、真っ赤な子どもが腰かけて足をぶらぶらさせていた。三人はしばらく見ていたが、怖くなって一目散に家へ逃げ帰った。髪は棕櫚の皮のように乱れ、アメリカ人形のようだった。いっしょに見た同級生の浦崎カナさんと最近その思い出を話すと、彼女もよく覚えていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。