圧搾機に押し込まれたブナガヤ
どんな伝承か
先島の話。いつのことかはっきりしないが、牛や馬にサーターグルマ(甘蔗の圧搾機)を引かせて砂糖を作っていたころなので、大正七、八年の好景気のころではないかという。ある農夫が甘蔗を圧搾機に差し込んで汁を搾っていると、一匹のブナガヤが夜ごとに訪ねてきて仕事の邪魔をした。こらえきれなくなった農夫が、とっさにブナガヤの腕をつかんで圧搾口へ押し込むと、大きな音とともに姿が消えた。驚いてあたりを見回すと、汁を溜める桶は真っ赤な血でいっぱいになり、そこら一帯も血だらけになっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。