鯉に化けてお春を沈めた河童
どんな伝承か
六十年ばかり前、佐伊津村にお春という人がいた。ある時、川に泳ぎに行くと、見たこともない大きな大きな鯉が出て来た。お春はそれを捕まえようと思って追って行き、とうとう海の深い所まで出てしまった。そしてお春は尻を取られて死んでいた。そこへ村の男が舟からそれを見て、その鯉を捕らえてみると、すぐに河童になった。そこで足を縛って提げておき、後で殺したところ、何やらかんやら出たそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。