五右衛門風呂に油と毛を残したセコ
どんな伝承か
大分県竹田地方の祖母山麓で、山師の山本老が語った話。山小屋には五右衛門風呂を据えて時々わかしていたが、晴天続きで水が乏しかったので、前の晩にわかした湯を替えずに翌晩またわかした。十八になる次男が入るや、ああ臭い、気持ちが悪いと言って飛び出した。湯はぬるりとして尋常ではない臭いがし、油と毛のようなものが一面に浮いて、体じゅうにくっついていた。これはきっと前の晩遅くにセコが入ったのだと、皆が言い合っているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。