氷朔日に山から下るガラッパの声
どんな伝承か
水俣で育ったある婦人会長が、子供の頃に母親から聞かされた戒めを語る。六月一日のコツツイタチ(氷朔日)には、決して川に入ってはならないと言われていた。この日はガラッパが山から川へ入る日とされ、家の中でじっとしているよう命じられた。家の近くには小川が流れ、ガラッパはその川に沿って山から降りて来るのだった。夜中になると、笛を吹くような声を立てて通り過ぎていく。母の膝に抱かれ、その恐ろしさに震えていたことを、今でも忘れられないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。