川漁の老人につきまとうヒョンヒョンの音
どんな伝承か
熊本県天草郡二浦町の話。ある老人が川漁に行って河童を見た。夜中のことで、ヒョンヒョンという音を立てて騒いで仕方がない。自分が川を上がって行くと、音もそれについて上の方へ上がって行く。実体はよく見えないが、自分のいるところから十四、五間離れたところでチャブチャブと川の中を歩く音も聞こえ、時々何かに驚いたようにギャーッと叫ぶこともあった。真夜中の一時頃で、月の夜であったという。丸山学『熊本県民俗事典』に採られた一条である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。