音だけ響いて倒れてこない天狗倒し
どんな伝承か
藤原では、山で木を伐る音が響くのは天狗の仕業だとも、むじなのいたずらだともいわれてきた。語り手は十四、五年前、ぜんまい採りに入ったころによく耳にしたという。まずパチ、パチと鉞で木を打つ音が続き、やがてワリワリと裂ける音に変わる。最後にバサーバサーと倒れる音まで聞こえてくるのだが、実際には木は一本も倒れていないのだそうだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。