芝草山で天狗と相撲を取った奉公人
どんな伝承か
高知県高岡郡大野見村萩中の話。昔はどの百姓家も草場を持ち、九月になると草を刈って馬の飼料や敷草にした。作兵衛の家でも夫婦と奉公人の凡太の三人で芝草山へ行き草刈りをした。作兵衛が休もうと声をかけたが、凡太はもう少し刈ってから帰ると言って残った。待っても戻らないので七、八人で探しに行くと、凡太は走ったり転んだり一人で暴れ狂っていた。若い者が手を取ろうとすると、ものすごい力で突き飛ばした。総がかりで取り押さえ、縄で縛って担ぎ帰った。凡太は正気づいてもぽかんとして何も話さず、山のことを聞いても一切語らなかった。誰言うとなく、凡太は芝草山で天狗と相撲を取ったのだということになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。