小屋掛けの夜に聞いた狼の吠え声
どんな伝承か
北海道の広島で狼の声を聞いた人がいるという。広島県からの移住者を呼び迎えるため、入地の前年にあたる明治十六年十二月下旬、和田郁次郎は仲間の二名とともに、小屋掛けの準備をしに広島の中の沢へ来た。ところがそこで狼の吠える声を聞き、寝具や米、鍋などを投げ捨てて島松川のほとりまで逃げ、焚火をして夜が明けるのを待ったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。