話を聞き分け子猫を二匹に減らした猫
どんな伝承か
昭和二七、八年の頃、語り手の隣家に水口という家があり、一匹の黒猫を飼っていた。この猫は人の話を聞きわけると、ばあちゃんが気味悪がっていた。あるとき黒猫が六匹の仔猫を産んだ。ばあちゃんは「クロよ、六匹も仔を産んでどうするよ。二匹くらいならこれからも置いてもよいけれど、六匹では全部を養うのはうちではえらいぞ」と言って聞かせた。すると聞いていたクロは、その日のうちに四匹の仔猫をどこかへ連れて行き、どうしたかは分からないが二匹だけにしたそうである。ばあちゃんが気味悪そうに語ってくれた実話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。