草刈りの夜明けに馬を止めた山犬
どんな伝承か
長野県南佐久郡川上村の話者の父親は、生きていれば百歳を超えているというが、生前に山犬に三度行き合ったという。一度は夜明けに馬に乗って草刈りに出かけたところ、馬がふうふうと言ってちっとも動かなくなった。見ると山犬がこちらを向いており、身震いするほど怖くなったが、帰るわけにもいかず、馬から降りて手綱を引きながら走って通り過ぎた。山犬は振り返って見ているだけで、追ってはこなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。