行徳(7)
どんな伝承か
市川市行徳のホウキやという屋号の家の爺さんは大工だった。田尻の仕事から夜おそく帰る途中、おぎゃおぎゃと赤子の泣き声を聞き、はじめは捨て子かと思って行ってみたが姿がない。「今度は里のいい所へくれてやるから、また出ろよ」と言って帰った。翌晩も同じ声がしたので、むじなだと分かった。「かわいそうに、新田のどこかへくれてやるからおじさんにおんぶしな」と負ぶって帰り、縁の下の柱に縛っておくと、正体のむじなに戻った。夜になると仲間のむじなが大勢「こんばんは」と迎えに来て、うるさくて眠らせないので、とうとう追い放してしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。