電信柱をたたいて待った東京からの返事
どんな伝承か
明治三三、四年頃、当時八歳だった鈴木さとが暮らす下田に初めて電信柱が立てられた。柱に耳を当てるとブーンという音が聞こえ、子供たちはこれこそ電話に違いないと思い込み、東京にいる叔父の住所を電信柱に叩いて伝えれば返事が来るはずだと信じて試したという。電信という新しい技術をまだ知らなかった時代の逸話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。