電話線のうなりを通話と思った村人
どんな伝承か
京都府与謝郡伊根町に伝わる、電話ことはじめの笑い話である。初めて電話がついたとき、ある人が、線の引っぱってある電話の柱まで行って、柱に耳を当てて聞いていたという。針金が「ウーン」と唸っているのを聞いて、「うーん、いま電話をかけているところだ。ウーン、ウーンと行く音がする」と言ったそうだ。通信の仕組みを知らぬ土地に電話という文明の利器が入ってきた当時の、素朴な受け止め方を伝えるひとくさりである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。