エレベーターの切符を求めた老女
どんな伝承か
香川県高松市に伝わる昭和初期の話である。琴平に生まれてから一度も外へ出たことのないおばあちゃんが、高松の三越へ出かけていった。デパートの中は珍しいものばかりであった。おばあちゃんはエレベーターの前までやって来て、扉が開くと、それを列車と思い込み、エレベーターガールに「切符を一枚ください」と言った。そしてぞうりを脱ぎ、エレベーターの床に座り込んでしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。