人を探して壊された蓄音機
どんな伝承か
昭和一六年ごろ、埼玉県熊谷市での話。生まれてはじめて蓄音機を聞いた人が、この声はいったいどこから出ているのかと考え込んだ。まず疑ったのは円い種板で、あの中に人が入っているのではないかという。しかし、あんな薄い板に人が入れるはずもない。それなら箱のほうだろうと思い定め、とうとう蓄音機を壊してしまったという。隣人から聞いた話として井上悦子が報告している。箱の中に人や小人がいると信じた話は各地にあり、同じ型がいくつも並べられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。