水没前の高根村で見た死神の鳥
どんな伝承か
大野郡高根村での話。語り手は、山奥のダム底に沈む高根村に泊まったことがある。学校は壊され、運動場には小さなひまわりの花が咲き、子どものくつが残っていても人ひとりいなかった。合掌造りの茅ぶきの民家は燃やされ、大きな甕には人の住んだあとの人糞が残り、蛆だけが生きて住んでいた。その夜、夢の中で、茅の屋根を葺きかえている人の後ろに大きな不気味な鳥が飛んできてとまった。鳥は農民をつかんで飛んで行った。人は知らずに仕事をしているが、捕まったら最後どうにもならず、この世から消えていく。それは死神で、いつ誰の後ろにとまるか分からないのだと思われ、不気味であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。