弥平蛇池の蛇婿と雨乞いの娘
どんな伝承か
南条郡神山村池ノ上の弥平蛇池には、次のような伝説がある。池ノ上の長者小西弥平が日照りに困り、雨を降らせてくれた者に娘をやると言い出した。すると若い武士が訪ねて来て、雨を降らせたら娘をくれるかと確かめ、帰ったあとで本当に大雨が降った。その晩、三人娘の末の娘が武士に連れられて池へ行き、ともに蛇の姿となって沈んだ。のちに池ノ上で火事が起き、弥平の家が炎に包まれると、池から雄蛇が出て家を七巻半巻いて火を防いだが、焼け死んだという。禅明院にはその蛇の牙が残る。小西家は明治二十八年に北海道の旭川へ移った。
原典より
そののち池ノ上に火事があつて、彌平の家が火につまれた時に池の中から雄蛇が出て、家を七卷半にして防火につとめたが、焼け死んだといはれてゐる。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。