女中が馬の骨で涸らした湯原の湯
どんな伝承か
上沢渡の湯原にあった温泉は湯宿もあってなかなか繁盛した。しかし盛るにつれて宿の主人は女中部屋にまで客を泊め、女中たちは馬小屋へ移された。主人は上機嫌だったが女中の不満は募る一方で、ある夜ひそかに死んだ馬の骨を湯船へ投げ込み、温泉を涸らしてしまったという。跡には薬師と地蔵の石像だけが残っていたが、数十年前の大洪水で流され、十余里下流の五料の渡しで拾われた。知らせを受けた土地の代表が迎えに行ったものの、押しても引いても像は動かず、そのまま置いて帰ったと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。