金の蝶になった羊太夫の魂
どんな伝承か
富岡市高瀬の小間家では、先祖は羊太夫だと古老が語っている。羊太夫は奈良時代のころ、朝鮮か中国のあたりから大勢の部下を率いて甘楽へ来た人で、大島に城を構え、近くの天引やその東にも城を築いた。銅や鉄の鉱石を掘って釜や鋳物を盛んに作り、機織りや養蚕を教え、まだ作物の乏しかった甘楽の谷の山野を開墾して農耕を広めたという。太夫は空を駆ける馬に乗り、家来の小脛を連れて奈良の都へ通った。やがてその勢いを恐れた近くの大将に攻められて城は次々に落ち、最後に残った大島の城も落城した。そのとき太夫の魂は一匹の金の蝶となって空に舞い上がり、南の秋畑の山の方へ飛び去ったと伝えられる。
原典より
富岡市高瀬の小間家の先祖は、古老がいうには、先祖が羊太夫だという。—— 群馬県史 資料編 27(群馬県史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。