足指から呑みかかった小さな黒蛇
どんな伝承か
明治の初め、上分での話である。話者の本家のおじいさんが、侍というものがなくなって、山へ小鳥を捕りに行くのを楽しみにしていた。ある日、鎌の柄ほどの小さな黒い蛇がすうっと来て、おじいさんの足もとで止まった。面白い蛇だ、蛇は人を見たら逃げるものなのにと思って見ていた。眠くなって切り株に腰かけてうとうとし、目が覚めると、蛇がわらじの足の指をくわえていた。おれを飲もうというのかと笑っていると、次の足も呑み、やがて四本を呑んで口が裂けるようになった。小指まで口がかかると体を締められたようになり、頭のてっぺんまでしびれた。振りほどいて鉄棒で叩き殺すと、三合入りの缶筒ほどもあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)