籠で奪った蛇の泡の玉
どんな伝承か
ある人が百間の入のあたりからボラ取りに行ったが、漁がなく、もう少し働きたいのに弁当がなかった。昔はお櫃をみな籠に入れて担いでいったもので、その人は弁当を取りに家まで戻った。その途中で、蛇の「泡とり」を見たという。蛇の固まりがあって、その中に丸い泡の玉があり、その泡を一匹で取ろうとして、何千匹という蛇が絡まって取り合っていた。担いでいた籠をその蛇にかぶせて押さえたところ、蛇は驚いて籠の網目から抜け出し、泡だけを残して逃げていった。その泡を家へ持ってきたら、それから大漁が続いたという。蛇が一匹でその泡を飲むと神の位になるといい、人間が持ち帰ったので福は人間に向いて、何をやっても運よくいったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。