殺された一太郎と片目のどじょう
どんな伝承か
昔、上田のかたはに一太郎という手のつけられない乱暴者がいて、喧嘩や博打、酒に明け暮れ、村八分にされていた。ある日ふいに旅に出た一太郎は、十年以上たって坊主となって戻り、すっかりおとなしくなっていたが、喧嘩がもとで片目を失っていた。刈谷沢から水を引いた池のほとりに住み、旅でためた小金を持っていたため、それを狙った村人に池へ投げ込まれて溺れ死んだ。以来その池のどじょうはみな片目になり、両目のどじょうを放しても片目になるという。昭和五年に供養の石塔が建てられ、今も近所の家々が農休みに供養している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。