雨の日に機と藁打ちの音が響く池
どんな伝承か
壁田の城山の頂に、周り五十メートルほどの小さな池がある。このろう池には機織り弁財天が祀られ、昔は機織りが上手になるよう願いを書いた布切れを結んだり、池に投げ入れたりする人が多かった。昔、近くに機織りの下手な嫁がいて、そのことで姑にたびたび叱られ、思い詰めて機の筬を背負って池に身を投げた。同じ頃、藁仕事が下手で主人に叱られた作男も、それを苦にしてこの池で命を絶った。以来、雨の日には嫁が機を織る音と作男が藁を打つ音が、池の底から悲しげに響いてくるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。