沈む日を呼び戻した嫁と嫁殺しの池
どんな伝承か
三水の集落の上の池は、昔は『嫁殺しの池』と呼ばれ、今は『嫁池』と言う。昔、意地悪な姑が、三枚で一町歩もある田を一日で植えよと嫁に命じた。嫁は懸命に植えたが終わらず、あと少しで日が沈みかけた。苗を植えながら股の間から日に祈ると、日は二間ほど戻ってくれた。嫁は日没と同時に植え終えたが、力尽きて死んだ。秋に穫れた米はみな赤く、村人は嫁の血のせいだと噂した。やがて水が湧いて池になり、田植えの頃の雨の夜には嫁の泣き声が聞こえるので、村人は丘に祠を建てて霊を祀った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。