久米路橋の人柱と雉も鳴かずば
どんな伝承か
お菊は犀川に架かる久米路橋のほとりの貧しい家に暮らしていた。ある時、村の金持ちの蔵から小豆が一俵盗まれ、役人が犯人探しに村へ来た。子どもたちと遊ぶお菊が、うちでは毎日小豆ご飯を食べていると話したのを聞きつけ、役人は父を捕らえて牢に入れた。当時の橋は大雨のたびに流されたので、村人は水神の怒りを鎮めるには人柱が要るとして、罪人の父を橋の支柱の下に埋めた。それきりお菊は口をきかなくなった。後年、鳴き声で狩人に撃たれた雉を見て、お菊は雉も鳴かなければ撃たれまいにとだけ言い、また黙り込んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。