滝の光から見つかった禅福寺の観音
どんな伝承か
今からおよそ四百五十年前、鳥打峠を越えていた旅の僧が一休みしていると、向こうの山際に夕日を受けて光るものが目に入った。麓へ行ってみると、山裾から小さな滝が流れ落ち、そこで何かが輝いている。拾い上げると小さな金の観音像だった。僧が村人に見せると、村の老人は、先年武田信玄に滅ぼされて逃げた大室氏の守り本尊に違いない、逃げる途中でこの村のために置いていったのだろうと言った。大室氏の心に打たれた僧は村人と相談して小さなお堂を建ててまつり、これが禅福寺の始まりだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。