中野騒動の火を防いだ法運寺の仁王
どんな伝承か
中野騒動で暴徒が放った火は多くの家を焼き、法運寺にも迫った。和尚と近所の人々が懸命に火を防いでいると、見慣れない大男が二人、川から水をくみ上げては寺の屋根高くまで浴びせ、火の粉を防いでくれた。おかげで寺は焼け残ったが、あの大男は誰だったのかと和尚は気にかかった。翌朝、仁王門の仁王を見ると、向かって左の仁王の足元が濡れており、やがて右目が赤く、次いで黒くなった。金色に塗り直しても翌日には黒ずみ、今もそのままだという。それ以来、寺を救った二人の大男はこの仁王で、そのとき右目を傷めたのだと言われるようになり、騒動の後に仁王の手に血がにじんでいるのを見た人もいるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。