兄の身代わりとなった駒形岩
どんな伝承か
霧の深い日、滝の沢の山道を幼い兄と妹が馬で進んでいた。突然兄の叫び声が上がって返事が絶え、妹も夢中で駆けて崖から落ちた。やがて村人が、白馬に抱かれるように気を失った娘を見つけた。娘は無傷で、そばの岩には馬の形が刻まれていた。兄が身代わりになったのだと手を合わせた娘は、防人に出た父を捜す旅の途中だと語った。そこへ通りかかった武人こそその父で、息子を弔うとこの地に住みつき、村人と田畑や道、牧場を開いた。村が栄えたのは駒形岩のおかげとして、今も駒形神社で祭りが営まれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。