病人の苦痛を引き受ける霊媒
どんな伝承か
高野寿直が長南家に居たのは明治三十年から三十四年までである。その間、近郷近在の難病者で救いを求める者が随分たくさん参り、年恵の母はその応対にいつも忙殺されていた。病人が来ると、年恵の躯には病人の病苦そのままの苦痛が起こったので、実に並大抵の苦労ではなかった。物忌みも厳しく、年恵は絶えずこれにも苦しめられた。心なき人々が汚れた躯で願いに来ると、その咎を年恵が引き受けてしまうのである。それでも一心に助けを乞う人々を不憫に思い、嫌な顔一つせず神に願ってやるので、いつとはなしに依頼者が集まり、少ない時も数人、多い時は二、三十人に及ぶことがあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)