四泊の池で蛇になった坊さま
どんな伝承か
昔、肥後の国に信心深い坊さまがいた。多くの人を救おうと考えた末、遠い信州の善光寺にすがることに決め、毎月欠かさず参る月参りを始めた。旅の途中、大門峠を越えた先の、今「四泊」と呼ばれる所に、いつも四日目の夏の昼下がりに着いてそこで泊まった。そこには青く澄んだ美しい池と大きな松があったが、じっと見つめる者を蛇に変える恐ろしい池だった。ある日、坊さまが池をのぞき込むと体が火のように熱くなり、念仏を唱えても水面に映る姿はみるみる蛇に変わった。やがて大きな水音とともに坊さまは池の底へ消え、ほとりの松には旅の笠だけが掛かっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。