海だったと伝わる苫生野
どんな伝承か
田名部の南に広がる苫生野は、苫生平とも呼ばれた土地である。言い伝えでは、はるか昔ここは陸奥湾につながる海で、波は斗南丘のふもとまで寄せていたという。そのため南から田名部へ向かう道筋も今とはまるで違っていたとされる。一里小屋のあたり、かつて十戸ほどの大室村という小集落があった辺りから東へ進んで斗南丘に上がり、丘の上を北へたどって、丹坂と呼ばれた今の赤坂を西へ下り、迎町を抜けて田名部へ入ったと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。