扇平に眠る落ち武者の財宝
どんな伝承か
むつ市角違の大川目と小川目が合わさる所から小川目の沢を登った峰の中腹に、大正のころまで扇形の草原があり、扇平と呼ばれていた。沖の漁師の目印にもなり、デェサグ平(大作平)の別名もあった。植林で森となった今は場所も確かめられないが、屋敷跡や崩れた石垣、石仏らしいものが残っていたという。戦国の昔、敗れた落ち武者が一族を連れて海を渡り、この奥地に館を構えて、再起のための財宝を甲冑とともに埋め、絵図面に残した。だが何代かのちに火事で絵図面も屋敷も焼け、一族は病や離散で絶えて、財宝のありかはわからなくなったと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。