池から浮かんだ常念寺の本尊
どんな伝承か
田名部の常念寺の阿弥陀如来像は恵心僧都の作と伝えられ、大正四年に国宝に指定された。寺は慶長元年に開かれたが、延宝三年の田名部の大火で類焼し、寺宝も記録も失われた。再建後、本尊を求めて寺の惣代たちが京へ上り、本山の清浄華院に参ると新旧二体の本尊があると聞き、古い方を譲り受けることになった。清浄華院も寛文十一年に火事に遭い、運び出しきれない本尊を境内の池に沈めたが、いくら探しても見つからず新しい本尊を造った。ところがその後、沈めた本尊が池に浮かび上がったため、二体を並べて祀っていたのである。清浄華院は道中の守りにと長刀一振りも添えてくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。