割られるのを嘆いた夜泣き石
どんな伝承か
落合の渡しに近い吾妻川の河原には、夜泣石と呼ばれる楕円形の大石があった。長さ九尺、幅六尺ほどもあった。昔、石工がこれを石材に切り出そうとノミで十五、六の穴を穿ったころから、夜ごと河原でしくしくと泣く声がするようになった。不審に思って声のする方へ近づくと、この石のところで泣き声はぴたりとやむ。割られるのが悲しくて泣くのだろうと考え、割るのをやめたところ、泣き声も聞こえなくなったという。石は大水で埋もれて今はない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 第4巻 (民俗編)
『渋川市誌 第4巻(民俗編)』の伝説と昔話の冒頭を抜き出したものである。群馬県渋川市の飛び湯と午年の貝水、千が窪の蛇、弘法様の清水、渋川八名石・有馬五石などの石の伝え、祖母島のあずきとぎ、五居が島、二位寺山、歯黒稲荷などを、伝承の大字を添えて収める。利根川と吾妻川の合う町の、石と水と塚にまつわる伝えが中心である。