竜宮から戻り竜となった甲賀三郎
どんな伝承か
昔、蓼科の麓の小村に甲賀太郎・二郎・三郎の兄弟が住んでいた。末の三郎の妻がことに美しく、兄二人は弟をねたんで、竜宮へ通じるという蓼科山頂の岩穴へ誘い出した。藤づるで編んだかごで三郎を降ろし、途中でつるを切ったので、三郎は闇の底へ落ちた。目覚めると竜宮の御殿で手厚くもてなされ十三年を過ごしたが、母恋しさに引き止めを振り切って地上を目指した。出た先は浅間山麓の真楽寺の池で、身は蛇に変わっていた。蓼科山頂で母を呼んで倒れると、遠くから母の声が応え、三郎は竜となって諏訪湖へ飛び込んだ。竜となって湖底にいた母と、いつまでも寄り添ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第5巻 総説 1 (概説)
『長野県史 民俗編 第5巻 総説1(概説)』のことばと伝承の章から、伝説の節を抜き出したものである。長野県全体の伝説を、デーラボッチャ・小泉小太郎・甲賀三郎・黒姫・八面大王・鬼女紅葉・ものぐさ太郎・弘法大師・白米城・早太郎・猫檀家・かっぱ・逆さ木・池の主・人柱・首塚などの題ごとにまとめ、本話のあとに県内各地の類話を地名つきで並べる。県史の地域編と重なる話も多い。