あの世に引きずり込まれる!!!
どんな伝承か
高校時代の夏休み、筆者は友人のA君と兵庫県稲美町の入ヶ池でバスを狙っていた。日が暮れかけたころ、筆者は何かに水中へ引き込まれ、A君が腕をつかんで引き合ったが体は胸まで沈んだ。ようやく抜け出すと、足先から腰まで藻が何重にも巻きついていた。自転車で帰る途中、落ちた場所と池のそばの大きな石碑の前で、見えない手に右肩を強く引かれた。その夜は金縛りに遭い、足もとにうずくまる黒い影が右足首をつかんで引き寄せ、一人は寂しい、一緒に行こうと語りかけてきた。左足で蹴り続けると、水が冷たいと言い残して消えた。翌朝、足首には赤いあざが残り、影のいたカーペットは湿っていた。
原典より
いや、正確にいえば、落水ではなく、何かに引きずり込まれたのだ。—— 水辺の怪談 ベスト(つり人社) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
水辺の怪談 ベスト(つり人社)
『水辺の怪談 ベスト』は、釣り人たちが海や川や湖で出会った怪異の体験談を集めた本である。お盆の夜釣りでの金縛り、伊豆大島の釣り宿の離れ、渓流の滝壺や湖のボート、アユ釣りやマス釣りの遠征先の宿などを舞台に、エサ屋の店主・会社員・釣りライター・バスプロら十七人が、自身や仲間の体験をつづる。「海の章」五編と「川・湖の章」十二編の二部に分け、各編の冒頭に筆者の短い紹介を置き、四人は仮名で書く。