血で描かれた絵と呪いの根源
どんな伝承か
昭和二十年の正月、本間家に泊まった旅の行者は、客間で坐禅を組み経を唱えたのち、千代と英男を呼び「この家には人間の血で描かれた絵がある」と告げた。割腹自殺をした者が自らの血で描いた自画像で、その者は先祖ではなく先祖に仕えた人物だという。行者は「その絵を探し出さなければ、この家のたたりは解けぬ」と言い残して旅立った。英男は使用人を集め、蔵も納屋も納戸も押し入れも、簞笥の底に敷いた紙まで一枚ずつめくって徹底的に探させたが、絵はとうとう見つからなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・昭和30~40年代(推定))
本書は千葉県館山市の本間家を舞台にした実例的怪談である。明治時代に栄えた網元・本間家は、大正~昭和初期に長女ふでが神かくしで失踪したことを皮切りに、呪いに見舞われる。昭和19年から本格化した悪霊の祟りにより、家族は原因不明の奇病、憑依、夢遊病、発狂、自殺・他殺による死亡が連続する。行者の指摘により、床下に隠された血で描かれた100年以上前の自画像が呪いの根源であることが判明するも、お祓いは手遅れ。