継母と組み合った亡き母の幽霊
どんな伝承か
江戸浅草の海雲寺に全春という僧がいた。七歳で母を亡くして継母に育てられたが、ある夜、紙帳の中で寝ていた継母の髪を亡き母の幽霊がつかみ、紙帳の外へ引きずり出した。気の強い継母はしばらく幽霊と取っ組み合い、ついに幽霊のほうが負けて消え去った。ところが後年、継母が病に伏すと幽霊が再び現れ、弱った継母はもう抗えず、首を絞められてしまったという。
原典より
昔、下野国那須の下蛭田村に助八という男があった。—— 日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。