寝る間に布団を回す大雄寺の幽霊画
どんな伝承か
明治の末ごろ、那須野が原の南端の城下町黒羽にある大雄寺に、茨城の大子から山越えしてきた旅人が宿を乞うた。無口な住職に粥を出され奥の間で眠ると、冷たい手で顔をなでられる感じがして目覚め、行灯をともすと枕元の壁に髪を振り乱した幽霊が浮かんでいた。住職はお化け応挙の筆だと笑って寝てしまったが、うなされながら明け方に目を開けると、布団が半回転して絵が足の方にあった。旅人は寺を逃げ出し、以来この絵は枕返しの幽霊と呼ばれ、今も寺の奥に掛かっているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。