立山と海から飛来する山燈と龍燈
どんな伝承か
越中の新川郡に、眼目山と書いてサックリ山と読む禅寺がある。道元禅師の弟子の大徹禅師が開いた寺で、開山のときには山の神や龍神が力を貸して、さまざまな不思議があったという。今も毎年七月十三日の夜、庭の松の梢に灯が上る。一つは立山の頂から、一つは海の中から飛んできて、どちらも松の梢に止まる。海から火が出るところは多いが、この寺のように山の灯と龍の灯がそろって松に留まるのは珍しいと東遊記は伝えている。
原典より
一つは立山の絶頂より飛來り一つに海中より飛來り皆松の梢にとゃまる。—— 炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))
『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。