熊と鶴が助けた瑞雲院の七不思議
どんな伝承か
戸塚山の瑞雲院には七つの不思議が伝えられている。紀州の長者が熊野権現に祈って授かった子が高野山で修行し、諸国を巡って出羽に入り、戸塚山の老杉の梢で熊野から従ってきた一羽の鳥が一声鳴いたのを瑞兆として、この地に庵を結んだ。その鳥は一声鳴けば吉兆、二声鳴けば凶事の兆と伝わる。開基通覚正僧正が亡くなった夜から七夜、墓の上に天から龍燈が下り、盆の墓参りにも見えたと村人はいう。堂の建立の際には熊が材木を運び、鶴が飢えを救い翼で涼を送って助け、僧正の没後も熊と鶴が墓に詣でた。ほかに御開山の巡錫、三つ星の定紋を付けた見廻り提灯の火消し、高燈籠が必ず倒れて建てられないことが数えられている。
原典より
一、吉凶知らす一羽の鳥昔、紀州に百万長者と云われた人がおりました。—— 高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年))
『高畠町伝説集』は、山形県立高畠高等学校文芸班が熊木成夫教諭の指導で編み、昭和三十二年に高畠町伝説集刊行会から発行した伝説集である。高畠町とその周辺に伝わる社寺の縁起、人物、怪異、動物、地名の由来などを、古老からの聞き書きと古記録から採り、内容の多くは郷土研究家安部名平次の蒐集による。神仏・人物・怪異・動物・什物・地物・地名・地誌の八篇に分け、町長の序と校長・安部名平次・武田好吉の文、編者の後記を付す。