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シジミ成仏の話

所在地神奈川県小田原市
出典奇譚草子

どんな伝承か

著者が知り合いのホシ(仮名)から聞いた話。ホシの友人イナバは国道二四六号線沿いでドライブインを営み、落とした財布の行方を当てるほどの霊能力があった。イナバは定食用にシジミの味噌汁を大量に作るが、生きているはずのシジミの殻が開かないものが増えていることに気づく。事務的に料理していてはシジミが安らかに成仏できないのではと考え、翌日から「感謝している、心を込めて作りみんなに食べてもらうから食べられておくれ」と声に出して念じてから料理した。すると驚くほど殻が開くようになり、二百個ずつ言い聞かせた分と言い聞かせない分で殻の開く率を調べると、明らかに前者が高かったという。

原典より

* 夜になるとやってくる男の話* 手で歩いてきた女の子の話* 階段の暗がりから睨んでいたばあちゃんの話* 眼に見えない生き物の話* **逆さ悟空*** **おくりもの*** **暗い優しいあな*** **せつなくん***…—— 奇譚草子(夢枕獏) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

奇譚草子(夢枕獏)

『奇譚草子』は、夢枕獏が著した怪異譚集である。ここに収めるのは表題の部にあたる「〜の話」と題した短い話二十篇で、友人や知人が自分や身近な人の体験として語った生霊の手、階下で蹴ったばかりなのに二階に座っていた祖母、トンネルや雪山の死体、夜ごと来る小人などの話を、著者が聞き手として書き留める。各話は一つの出来事を短く語る小品で、末尾は箱根に住んだ元関取に憑いてスサノオと名告る存在の話で結ばれる。

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